新築住宅におけるフロアコーティングの選択肢として、現在主流となっているのが「ガラスコーティング」「UVコーティング」「シリコンコーティング」の3種類です。それぞれに異なる特徴があり、家庭環境やライフスタイル、予算、重視する効果によって最適な選択が変わります。
まず、それぞれのコーティングの基本的な違いは以下のとおりです。
種類 |
特徴 |
耐久性 |
光沢感 |
滑りにくさ |
費用帯(目安) |
ガラス |
硬度が高く耐傷性に優れる。マットで自然な仕上がり。 |
高い |
控えめ |
中程度 |
やや高い |
UV |
紫外線硬化で短時間施工。高級感ある光沢が人気。 |
非常に高い |
非常に強い |
やや滑りやすい |
高額帯 |
シリコン |
滑り止め効果が高く、ペットや子どもがいる家庭に最適。 |
普通 |
中程度 |
非常に高い |
比較的安価 |
ガラスコーティング
ガラスコーティングは、主に無機ガラス成分をベースにした薄膜の塗布によって、フローリング表面を保護する方法です。最大の特徴は、光沢が控えめで落ち着いた質感に仕上がる点です。天然木のフローリングの風合いを損なうことなく、床の傷や摩耗を防ぐ効果が期待できます。
耐久年数は20〜30年と非常に長く、特に生活動線が多く人の出入りが激しい場所には最適です。水分や薬品、洗剤などにも強いため、掃除の際の水拭きや中性洗剤使用も問題ありません。
一方で、施工後の硬化に時間がかかるため、完全に使用可能になるまで数日間は入室制限が必要な場合があります。また、硬化後は非常に硬くなるため、万が一剥がれや欠けが発生した場合には部分補修が難しいというデメリットもあります。
こんな方におすすめ
- フローリングの自然な質感を残したい
- 長期間ワックス不要で床を保護したい
- 掃除を楽にしたいが見た目に違和感は持ちたくない
UVコーティング
UVコーティングは、紫外線照射によって瞬時に硬化させる技術を用いたフロアコーティングで、即日で施工完了し、引き渡し当日から使用可能という大きな特徴があります。一般的に使用されるのはアクリルウレタン樹脂で、これにUV硬化剤を配合することで表面の強度と光沢を両立させています。
最も大きな魅力は、圧倒的な光沢感とツルツルとした美しい仕上がりです。特に高級マンションやモデルルームなどでは多用されており、床の見た目にこだわりたい層に強く支持されています。
ただし、この光沢が原因で「滑りやすい」と感じる声もあり、ペットや小さな子どもがいる家庭では注意が必要です。また、施工費用が高額になる傾向があり、100㎡あたり40〜50万円前後の見積もりになることもあります。
UVコーティングの向き・不向きチェックリスト
向いているケース
- 高級感のある光沢仕上げを希望する
- 忙しく、引き渡し直後にすぐ入居したい
- 床を強く長く守りたい(耐久性は30年以上)
向いていないケース
- ペットが床ですべるリスクを避けたい
- 自然な木目や風合いを重視している
- 費用対効果を重視したい
シリコンコーティング
シリコンコーティングは、滑りにくさと価格のバランスに優れた実用性の高いコーティング方法です。耐摩耗性や撥水性に優れており、特にペットを飼っている家庭や高齢者が同居する住宅で選ばれることが多い傾向にあります。
最大の特徴は、柔軟性と密着性の高さにより床材との相性がよく、万が一の剥がれにも比較的対応しやすい点です。滑り止め効果も非常に高く、足腰の弱いペットや高齢者が転倒するリスクを軽減できるのは大きなメリットといえます。
価格も比較的リーズナブルで、コストパフォーマンスに優れています。耐久年数は10〜15年程度であり、ガラス・UVと比べるとやや劣りますが、再施工のしやすさを考えれば実用面では十分です。
以下のような方には非常におすすめです。
- ペットと暮らしていて滑り止め効果を重視したい
- 高齢者と同居しており安全性を最優先したい
- 初期費用をできるだけ抑えたいがワックスがけは避けたい
注意点としては、強度が高すぎないため傷が完全に防げるわけではないこと、光沢感が強すぎずやや控えめな見た目になるため、デザイン性よりも実用性を重視する方向けの選択肢となります。